どもー。
いっとくですー。
うどんよりそば派です。そしてソースカツ丼よりタレカツ丼派です。
最近Kindle Unlimitedに加入して、読みたい本が爆発的に増えてしまったので、時間を作るのに四苦八苦しています。
今回もkindle unlimitedにあった小説から感想を!
タイトルが思いっきり見覚えのあるタイトルになっていますが、まさしくそのとおりで、走れメロスと4作品(山月記、藪の中、桜の森の満開の下、百物語)の現代版リメイク短編集です。
いずれの話も舞台は京都の学生を主人公にして展開していますが、話の大枠の部分は元の作品通りになっているという、中々変わり種の小説でした。
読んでみた感想としては、かなり好き。
というかこれを書いた森見登美彦さん、ごいすー!!って思いました。
新釈走れメロス他四篇のここがすごい
本書を読んでいて思ったのは、内容が面白いというのもありますが、舞台が違うのにしっかり原作の流れを踏襲しているのがすごいです。
正直走れメロス以外、元の話の流れは知らなかったのですが、ネットであらすじを見てみるとすごく忠実に流れを踏襲しています。大体こういうことをすると、話の流れに違和感が出そうなものですが、そこに森見さんおなじみの単語や登場人物を織り交ぜながら、違和感なくミックスしていて全部面白く読めるんですよね。
特に表題になっている走れメロスは、原作だと友達を処刑の身代わりに立てて、妹の結婚式に参加した後、友情のため処刑されに戻ってくる話だったと思うのですが、こちらでは処刑ではなく大群衆の前で美しく青きドナウに併せて桃色ブリーフで踊るという刑になっているし、メロス(本書では芽野という名前だが)は全く戻る気がなく、京都の市中を逃走しまくります。
それでも大筋のプロットは走れメロスを自然に踏襲している仕上がりになっているのです。読み終わった後、たしかに走れメロスだったわってなります。
他の話も、そのような調子で、例えば「藪の中」は原作だとそれぞれの登場人物の視点でストーリーが展開されるが、その証言にはそれぞれ矛盾があります。
実際にこの矛盾も表現されており、普通に何も知らずに読んでたのですが、登場人物によって証言が食い違っていたので、何だこれミスか??と思って読み返しました。後であらすじや考察を調べてみると、どうやら原作もそうなっているらしい。
また、各ストーリーに森見さんの世界観をしっかり混ぜ込んでいるのもすごい。
森見さんの小説で京都を舞台にしている作品には頻繁に登場するキャラや存在があります。
例えば、詭弁論部や図書館警察などなど。
そういった独特の森見節とも言うべき世界観が、各文学作品に上手にミックスされています。
なんかよくわかりませんが、僕はいつもこの人の本を読むと京都にはいろんなものが詰まっていそうな感じがして、京都に行きたくなります。笑
そして、各作品が同じ舞台で繰り広げられることで、異なる文豪たちが書いた作品が一つの世界にすっぽり収まる感じがすごい。
どの短編にも、他の短編のキャラがちょろっと登場することで、あぁこれは同じ舞台で展開されているんだなということを感じ、なぜか登場する度に少し嬉しい気分になります。
最後の百物語では全員大集合し、ここでつながるのかという感覚を覚えるし、その主人公の名前が森見という人物であることも、不思議な感じがします。
多分僕が作家だったら絶対に自分の名前のキャラクターは登場させたくないので、ここにどんな意味を込めているのかがすごい気になるところではあります。
ちなみに、全部で5つの短編がありますが、僕が一番読んでいて引き込まれたのは「桜の森の満開の下」でした。
誰もいない桜並木が怖いという感覚や、美しい女に言われるがままに主人公が小説家として大成していく中、次第に自分が本当にやりたいことが何なのかわからなくなっていくところなど、読んでいて斬新に思え、どんどん読み進めてしまうような章でした。
途中からもうこの女は人間じゃないんじゃないかと思い始めるものの、やっぱり人間っぽいと思わされたり、いろんな方向に感情が持っていかれる作品だったな〜
こういう本って、原作を愛している人に袋叩きにされそうな気もしますが、原作をほとんど知らない僕からすると、すごく引き込まれる面白い本だったな〜という感じでした。むしろ原作を知っていたらそれはそれで別の楽しみがあるんじゃないの??って思うような気もします。
まぁヒップホップのサンプリングみたいな気持ちで読むと良いと思います。笑
かなり面白いと思うのでおすすめです〜
あと、やっぱりkindle unlimitedがすごいサービスだわ。
知らない間に小さな商売を破壊してそう。
しかし、非常に楽しませてもらっているので、今後も面白そうなものを見つけては読み漁っていこうと思います!
以上、新釈走れメロス他四篇の感想でしたー!
さいなら。
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