こんにちは。いっとくです!
AI(人工知能)の登場によって人間が仕事を奪われる時代が来てしまうことや、今年金を払っていても将来自分が老人になった時には年金自体が破綻してしまうんじゃないかという現代の若者特有の不安。
確かに漠然とした不安感はあるものの、今後どうすればいいのって思いますよね。
そんな不安感に答えてくれる本がこちら。
人生100年時代のお金の不安がなくなる話
(著:竹中 平蔵、出口 治明 出版:SBクリエイティブ)
僕は元からライフネット生命社長の出口さんの本にはかなり影響を受けているわけですが、今回も良かった。
なんでこの人はこんなに本質を見極めることができるんだろうかと感心するしかありませんでした。
大きな問題は「AIの登場による働き方の変化」と「老後の不安」
本書は以下の6章で構成されています。
- 今、時代はどう動いているのか
- 超高齢社会到来!!老後のお金の不安とどう向き合うか
- 人生100年時代の働き方
- これからの時代に活躍できる人の条件
- 日本経済は持ち直すか そして給料は上がるのか
- 日本を根底から変えるために必要なこと
そのほとんどの章において論じられていることは、AIの登場により第4次産業革命が起きると言われている時代での働き方とこれからの老後についての考え方です。
その辺を不安に思っている人はかなり読む価値があります。
AIの登場で本当に仕事が奪われていくのか?
AIが人間の代わりに仕事をするようになると本当に仕事がなくなってしまうのか?
これに関して僕は奪われる仕事もあるだろうし、特に影響のない業界もあるだろうと思っていました。
むしろ、AIが生み出している分の付加価値を企業や政府がうまく再分配すれば、働かなくても食っていける社会になってよくない??とまで思っています。
もしかしすると個人でAIを所有している人間がコストを支払わずに不労所得を得られるようになり、AIを所有している人としていない人の間で格差が起きるなんてこともあるかもしれませんが。
しかし、本書を読んでみるとこのAIの登場による第4次産業革命は機械が導入されるようになった第1次産業革命よりは規模が小さいものであると論じられています。
第1次産業革命の時は仕事を奪われることに不安を感じた人間が機械を物理的にぶっ壊すという暴動が起こりました(ラッダイト運動)。
しかしこんなに抵抗した人々ですが、結果だけ見てみると革命が起こったことにより今までになかった新しい働き方が登場したため、人々は別の働き方という選択肢を手にしています。
そもそも日本はどちらにしろこれから労働力が減っていく社会なので、外国人や老人も労働力として取り込んでいかないと繁栄はあり得ないとの事。
つまり当分の間は働き口がなくなるということはないということを意味しています。
本に書いている内容ではありませんが、今やインターネットで全ての人が情報を入手したり発信したりできることになったので、今まで仕事にならなかったような自分が好きなことを仕事にすることも可能です。
選択肢が多いということから逆に何をしていいのかわからないという不安はあるかもしれませんが、これからの働き方はすごく明るいなぁと思いますね。
この時代に生まれて本当にラッキー。
働き方の見直しは避けて通れない
働き方の点でもう一つ共感できた内容は、工業がメイン産業だった頃の働き方を見直すべきということ。
今の日本は労働時間が長く生産性が悪いと言われています。
というのも日本が経済国として成功した理由は冷戦・人口ボーナス・工業化による高度経済成長が挙げられます。
特に工業がメインになると工場の稼働時間を長くすることが直接生産性の上昇に結びつくため、労働時間を伸ばすことで経済の成長に繋げることができました。
しかしそれが国の産業の7割がサービス業になった今でも同じ働き方をしてしまっているため、改めて働き方の見直しが必要なのです。
具体的には成果報酬の賃金制度と多様な働き方。
サービス業の場合労働時間が直接価値には結び付くとは限らず、例えば5時間働いて100万円売り上げるのと10時間働いて50万しか売上ないのであれば前者が評価されるべきということです。
時間に関する制限をある程度緩和し、空いた時間で「人・本・旅」に触れて、自分の中のアイディアを磨く方が生産性が上がるというのが出口さんの論。
間違い無いですね。
この「人・本・旅」という考え方は出口さんの著書でよく出てきますが、本当に好きな考え方だなぁ。
結局人が成長するためには人と出会うことが必要。
なので人に触れて、著名人が書いた本に触れて、バックグラウンドが違う旅先の人に出会って自分を磨こうという考え方。
シビれる〜。
老後の不安を解消するためには仕組みの見直しが必要
そして本書のもう一つの大きなテーマである老後の問題。
特に年金なんかはいつ破綻してもおかしくないんじゃないかと不安に思っている人も多いと思います。
しかし、これは年金を保険に戻すことで解消できると本書では述べられています。
つまり、定年制度を廃止して働けなくなってしまった人にだけ年金が支給されるようにするということです。
今の年金は全員に支給していますが、元々は保険として制度が作られています。
ただ年金の制度を設計した時代では高齢者の数が少なく寿命も今ほど長くなかったので、全員に支給しても問題がなかったのです。
それが高齢者の割合増加と寿命延長によりかなりの負担となってしまいました。
だからこそ若者が老人を支えるという構造を変えて、働ける人が働けない人を支えるという構造に変える必要があるのです。
つまりこういう老後の問題のほとんどは、日本の年齢に関する差別をなくせば解決するのです。
若者と老人ではなく、元気な人とそうでは無い人に分けることで支える構造を変える。
医療費も同じですね。
年齢フリーの考え方が今の日本には必要
僕が個人的に今回の本でよかったなと思う部分です。
それは年齢フリーの考え方にするということ。
今までは年が上の方が給料が上で決まった年齢に達すると退職と決められていますが、働けるうちはずっと働けるようにすべしということです。
企業としては年齢が高い人ほどコストになるという風潮もあったので今までは推奨されてきませんでしたが、仕事のアウトプットに対して報酬を決定すればその問題も解決します。
いやいや、そんなに長く働きたくねーって人は早めに資産を構築してリタイヤするように行動すればいいのです。
さらに働く老人が増えて年金制度も保険のようになれば国の財源もうまく回ります。
いいことづくめや。。。
結局いつまでも1940年体制のままの仕組みで運用していることが問題なんですよね。
個人の考え方もそうだけど、時代は変わっているのに高度経済成長に適応しているような考え方の人が多い気がする。
もちろん教育者がその時代のマニュアルに基づいて教育をしているので当然の流れなのかもしれません。
本書でも書いてありましたが、教育よりも学びが重要。
確かにその通りだなぁと思いました。
まとめ
やっぱり出口さんの本はハズレないなぁという感じでした。
今までざっくりと感じていたことの本質を見抜いて言語化してくれるような感じ。
教養人目指して頑張ろうというやる気を出させてくれる1冊でした。
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