SNSを通じたおじさんおばさんの文通かと思いきや…|ルビンの壺が割れた【書評】

ルビンの壺が割れた 表紙小説

寒くなってきましたね〜、、、いっとくです!

今回はこちらの本を読んだので感想でも書いていこうかなと思います!

ルビンの壺が割れた 表紙
ルビンの壺が割れた
著:宿野かほる 出版:新潮文庫

この「ルビンのツボが割れた」という小説は、なんとも言えない読後感が残る作品でした。

ルビンの壺というのは、だまし絵の一種で、見方によっては壺にも見えるし、向かい合っている人物のように見えるというもの。

本書のタイトルがなぜこのタイトルにしたのかというところの確信はありませんが、物語が進んでいく中でほとんどの登場人物が登場時と読了時で全然違う人物かのように見えてしまうという点で、見方によってどちらにも見えてしまうというところとルビンの壺をかけているのではと推測しています。

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フェイスブックのやり取りだけで明らかになっていく衝撃の事実

ストーリーの進行は全て50代の男女のフェイスブックのメッセージのやり取りのみを通して進行していきます。

二人は昔婚約までしていた仲でしたが、結局は結ばれることなく現在に至っています。

最初は男の方がたまたまSNS上で見つけた、かつての婚約者に思わず連絡をしてしまうところから始まります。

最初のやり取りでは、ちょっとストーカー気質の男なのか?と感じざるをえない文章が男の方から一方的に何通も送られます。この時点で少し恐怖を感じますね。ちょっと初めて触ったSNSに舞い上がって、境界線を見失ってしまったおじさん感があります。

しかし女性からの返信が返ってきたところから、物語の印象は変わっていきます。

二人は懐かしさのあまり、演劇部で一緒に青春を謳歌していた頃の話を繰り広げます。

始まりこそストーカーっぽかったものの、二人の会話を読んでいると、なんとも純朴で真面目そうな印象が漂い始めてきます。

しかし、ストーリーが進むにつれて少しずつですがメッセージの中で、二人とその周りの人間に関する新情報が出てきます。

気づくと内容は30年越しに勃発した別れ際の痴話喧嘩のような体裁になるのですが、やり取りごとにどんどんショッキングな内容が追加されていきます。

登場回数が少ない脇役を除いて、登場人物のほとんどが第一印象のままの人間であることはありません。

宮脇くん、、、え?

おじさん、、、えぇ??

優子さん、、、ええぇ??

美帆子さん、、、、、、、ええええ!?

水谷さん、、、、、、、あなたもええええ??

みたいな感じでしたね。

特に言葉遊びや伏線的なトリックがあるわけではなく、真面目そうなエピソードを持っている人たちが裏では衝撃の一面を持っていて、それがどんどん露わになっていくという新しい読書体験でございました。

オチに関しては急に言葉の雰囲気とかも変わるので驚きはありますが、少し陳腐な感じがしてしまいます。逆にもっと不気味な終わり方もできたんじゃないかなという気もします。

ただ読書中ずっと少しの違和感を感じるので、不思議と続きが気になってどんどん読み進めてしまうという感じでしたね〜。

評価に関してもかなり賛否両論ある本ですが、個人的にはかなり引き込まれて、次々とページを捲ってしまっていたので、かなり楽しく読めたんじゃないかなと思います。

ただ、前評判や雰囲気からミステリーを読みたいという気持ちで読み始めてしまうと、それは期待と全然違う方に行くのでがっかりするかなと思います。あくまでニュートラルな気持ちで読むことで楽しめるかと…!

以上、いっとくでした!

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