切なくなるほど過酷な生き物たちの一生に思いを馳せる|生き物の死にざま

生き物の死にざま 表紙教養

夏も終わりが近づくと、セミの亡骸が街中に転がっていますよね。

あれは自然界が生み出したドッキリ企画ですね。近づいたらいかにもヤバそうな音を立てながら暴れ回るんですから。住んでいるアパートの階段の真ん中に転がっていて立ち往生したことが何度あるかわかったものではありません。

そんな心臓に悪いセミですが、彼らの目は背中についているため、最後の瞬間は地面しか見えていないのです。

セミといえば、7年を土の中で過ごし、成虫になると1週間という短い期間を生きるということで有名ですね。実際のところは土の中で何年生きているかは不明で、成虫の寿命も1ヶ月くらいあるんではないかと言われているらしいですが。

なぜ僕が急にセミの話をしているのかというとこんな本を読んだからです。

生き物の死にざま 表紙
生き物の死にざま
著:稲垣 栄洋 出版:草思社

どんな本かというと、生き物がどのようにして最期を迎えるかということを書いている本なのですが、これがとんでもなく面白い本でした。

面白いっていうのはfunnyじゃなくてinterestingの方の面白いね。

まず一番の面白さであり本書の醍醐味でもあるのですが、生き物がどのような最期を迎えるかという事実が、人間にとってはあまりにもドラマチックすぎるのです。

卵を外敵から守った後に子供に食べられて最期を迎えるハサミムシや、どんな苦境に遭遇しても生まれ故郷に帰ろうとするサケ、後尾が終わるとメスに吸収されてしまうチョウチンアンコウ、子供愛あふれるタコ、宝くじの1等に当たるよりも低い確率でしか大人になれないマンボウ、古巣に置いてきぼりにされるシロアリの女王、食用のニワトリ、実験室で障害を閉じるネズミなどなど、もし人間だったらと考えるとんでもないことが起きまくっているのが生き物の世界です。

そんな過酷な死を迎えるにも関わらず、本能に突き動かされるままに脈々と子孫へと遺伝子を受け継いでいくさまは読んでいてこころを動かされずにはいられませんねぇ…。

そしてそれを引き立てる、筆者の文章もまたいい味を出しています。

特に僕が個人的に心を揺さぶられたのは1匹のミツバチは一生でスプーン一杯分のはちみつしかあるメルことができないと説明した直後の文章。

そんな日本のサラリーマンの生涯年収は平均二億五〇〇〇万円。奥単位のお金だからものすごい金額に思えるが、札束にしてみれば事務机の上に簡単に置けてしまう。大きなボストンバッグに入れれば持ち運べてしまうサイズだ。我々も一生、働いてみても、ミツバチの集めたスプーン一杯の蜜を笑うことはできないのだ。

生き物の死にざま 20.花の蜜集めは晩年に課された危険な任務 ミツバチ

スプーン一杯分しか集められないのかよ!って思っていた直後のこれである。それは突き刺さりますね。

こんな感じで、筆者の独特な視点や語り口調が心地よく、内容の面白さを一層引き立ててくれている本でした。

感動あり、衝撃ありの好奇心をくすぐられる名著だと思うので、お時間あるときに読んでみると面白いと思いました!

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