こんにちは。いっとくです!
仕事をするにしてもプライベートでいろんな活動をするにしても、自分の気持ちが乗る時と全く乗らない時があります。
要するにどんな活動をしていても向き合うことに対するモチベーションに差があったのです。そして、全く同じ活動でも自分たちの状況によって変わることがあります。
そんな心理状態の裏側に人間のどんな性質が関わっているのか。
そんな答えを見つける大きなヒントになりうる本を見つけちゃいました。

著:ダニエル・ピンク 訳:大前 研一
出版:講談社
やれやれ、また今流行りの何とかかんとか2.0とか3.0みたいなやつですか??と思いきや実はこちら10年も前に出版された本。
正直なところ、著者のダニエル・ピンクさんが一体何者なのかは知らなかったのですが、大前さんが翻訳をしている!これは絶対間違いない本だ!と確信して購入。
というか大前さんって翻訳もしていたのね…
原著名はDriveというタイトルだったのですが、それをモチベーション3.0にしちゃうあたりにセンスを感じざるをえない。
そして何よりも大事な本の内容についてなのですが、まずこれだけは言っておきたいのですが、めちゃくちゃ良かった!!!!
そもそも海外の本で日本に翻訳されるやつって、かなりの高確率で名著なんですけどね。じゃないとわざわざ翻訳されないはず。
しかし、そんな名著が溢れる洋書の中でも、個人的にはかなり心に深く突き刺さりました。ファストアンドスローを読んだときくらいの衝撃。
まず今まで自分が知らなかったことが実験やエピソード内で、これでもかというくらい証明されていて、いかに自分の常識が井の中の蛙状態だったのかということを思い知らされた。
さらに、この本の内容はどんな人でも役に立つような人間の本質的な部分について知見を与えてくれる内容になっている。
例えば、
- 自分のやる気にムラがあるからどうにかしたい
- 会社で部下を持つようになったから、どうやったら部下のモチベーションを保てるか知りたい
- 会社をよくするために、もっとみんなが気持ちよく働ける仕組みを作りたい
- プライベートで運営しているコミュニティをもっと活発化させたい
- 子供が学校に通い始めたから、もっと勉強して賢い子に育ってもらいたい
などなど、会社の経営者からお家のお母さんまで、誰が読んでも損しないとい驚異のカバー範囲。
10年も前の本なので、他の本で似たような内容を読んだことがある人はいるかもしれませんが、そういう人にとってはその考えのエビデンスを知るきっかけにもなります。
ということで、すごくいい本だったので、早速なぜこの本がおすすめなのかということを少しだけ内容に触れながら展開していこうと思います!
人間が持っている3つのOS
現代社会を生きる人間は、現在3種類のOSを稼働させて生きています。
1つ目のOSがモチベーション1.0
これはいわゆる生存するためのモチベーションです。
お腹が減ったら食べるし、眠くなったら寝るし、便意を催したらクソをする。
もはやモチベーションという言葉が適切じゃないと思えるほどに当たり前の欲求で、人間に限らず動物に共通して持っている行動原理なのではないでしょうか。
そして2つ目が、外的報酬によって動くというモチベーション2.0
俗にいう、アメとムチのマネジメントによって湧き出てくるモチベーションです!
具体的には、良い結果を出したら金銭的な報酬が与えられ、結果がよくない場合は罰によってコントロールされるモチベーションのこと
これは僕らの住んでいる世界では当たり前のことのように思えます。
例えば営業だったらノルマを達成したからインセンティブが貰えるけどダメだったらめちゃくちゃ上司に絞られるとか、子供だったら宿題をやったらお小遣いを貰えるけどサボったらおやつ抜きとかね、そういうことです。
かなり多くの社会的コミュニティで実践されている、こちらのモチベーションマネジメントですが、実はこの手法には重大な欠陥が潜んでいると指摘されています。
詳しくは後述します。
そして、3つ目が本書のメイントピックでもあるモチベーション3.0。
これは小難しいことをいうと自発的なモチベーション。
簡単にいうと、他人からあれこれ言われなくても、自分の内側からモリッとやる気が出てくる状態のことです。
引き出すのは難しい一方で、仕事でも人間的な成長においてもかなり大きな結果に結びつきやすいというこちらのOSを稼働させようというのが本書の命題な訳です。
しかし、そのモチベーション3.0を動かす方法について触れる前に、現在世の中的に主流になっているモチベーション2.0の弊害について考えていきましょう。
外的報酬がもたらす弊害
報酬や罰則によって、モチベーションを管理するという方法。
これは20世紀においては画期的な発明でした。
その最大の理由は物を生産することが豊かさに繋がる時代だったので、ひたすらルーチンワークを効率化すれば国も企業も成長することができたからです。
そういったマニュアルさえあれば誰がやっても成果が出るような作業において、アメとムチを使った管理手法は効果をあげることができます。
しかし先進国はもはや物質的な豊かさで言えば不満がなくなるレベルに達し、仕事の内容がクリエティブな方向になっていくにつれ、その管理手法がよくない結果をもたらすようになりました。
というのも、ルーチンワーク以外の作業に関しては、アメとムチのマネジメントというのは害悪をもたらすという性質を持っていたからです。
本書の中で、具体的な弊害とそのエビデンスとなる実験について書かれているので、そこは本を読んでお確かめくださいという感じなのですが、具体的にはこんな弊害があります。
- 創造性を失う
- 成果が上がりにくくなる
- 依存性がある
- 結果のために手段を選ばなくなる
などなど。
この辺は自分の経験と照らし合わせてみるとより実感すると思います。
例えば、自分が子供頃を想像してみましょう。
宿題をやるとお小遣いが貰えると知ったら、お小遣いがもらえなくなった時に一気にやる気が無くなりませんか?
そして、もしお小遣いが貰うことが目的になったら、知恵を働かせてズルして宿題を終わらせたり、終わらせたように見せかけたりしませんか?
それを繰り返していると自分の学力は落ちて学校での成果、つまるところ成績が落ちませんか?
目的がお小遣い、つまり報酬になってしまうと、結果的に人として成果が上がりにくくなるわけです。
創造性に関しても、これは本書内であった事例なのですが、芸術家がお金をもらって作った作品と、趣味で作った作品をそれぞれブラックボックス化して品定めしてもらうと、趣味で作ったもののほうが独創性が評価される傾向が強く出たそうです。
そりゃお金もらってやるってなると、間違いないものを作らなきゃってなって、安パイを狙いにいきますよね。
でも今、先進国で求められている仕事の成果って、大部分がクリエイティブなものになっているのです。
その求められているものと、アメとムチで引き出せる部分にミスマッチがありますよって!だから今になって弊害が出てきているんですよー!って話なんです。
この外的な動機付けによる弊害は個人的に衝撃的な内容でありつつも、今まで言語化できていなかったけど感じていたことだったので、すごい学びになりました。
結局のところ、このモチベーション2.0の最大の設計ミスは、仕事が本質的につまらないからやりたくないものとして捉えてしまっていたことなのです。
そして来たるモチベーション3.0時代では仕事の捉え方が異なります。
仕事は本来、遊びと同じように楽しいことなんだという立場に立って展開されていきます。なんならアメとムチで管理することによって、本来楽しかったはずのものを、報酬をもらってやらないといけない嫌なものとして捉えてしまうようになったというスタンスです。
モチベーション3.0を稼働させるのに必要な条件
報酬をもらうとやる気がなくなると書きましたが、勘違いしてはいけないのが、じゃあ無給で働くのが正義という極論ではないということ。
あくまでも、モチベーション3.0にはある程度の稼働条件があり、ベースラインとして妥当な報酬がないとそもそも動くことがありません。
そういった当たり前のことは前提とした上で、モチベーション3.0を稼働させるためのキーワードが自律性・熟達・目的の3つです。
一つ目の自律性というのは自分でやりたいことを決めるということ。
そりゃ誰だって自分からやりたいと思ったことの方がやる気が出るのは当たり前のこと。
そしてこれは仕事の内容だけではなく、どうやるかや誰とやるかというのを自分で決めるというのも効果があります。
会社に属している社員の場合、どうしても自分で決定できる範囲に裁量の限界があります。なので本当に頑張るべきはその組織を作っている人たちで、会社の制度設計を考え直すことで最大の効果が出る部分だと思うのですが、とはいえ個人でできることがないわけではありません。
例えばその結果を出すための道筋は自分で決めるとか、目標設定を自分で決めるとか。ある程度スコープを狭めることによって、自律性を再現できる部分は可能です。
自分の裁量でできる部分を少しずつ置き換えて、結果を出して、周りに影響が与えられれば理想です。言葉で言うのは簡単だけど、実際にやるとなると体から血が吹き出るほどの闘いになりそう。笑
そして、続いてのキーワードが熟達。
人は誰しも、本質的に自分が成長するということに喜びを感じるという視点からくる考え方。
自分の経験と照らし合わせてみると、部活でも勉強でも趣味でも仕事でも、成長したな〜と感じる時にはなんとも言えない満足感があります。
しかし「好きこそものの上手なれ」と言う言葉がある通り、好きなものじゃないとなかなか成長することができません。
人世100年時代と言われている今、仕事に費やす時間というのは増えるのは確実なので、もし今の仕事が好きじゃないのであれば、現状に諦めずに没頭できる仕事や環境を追い求めてみると言うのも一つの手なのかもしれません。
そして、最後が目的。
個人的にはかなりキーになる部分だと思っています。
あくまで自分の経験談なので、再現性があるのかどうかはよくわかりませんが、自分は大学を卒業して、大きく3つの仕事をやってきました。
新卒で入社した会社では営業として働き、ここは一緒に働く人たちが素晴らしかったので、やる気が途切れることもなく頑張ることができました。
2つ目はフィリピン留学の資金を貯めるために始めたリゾートバイト。
これは内容としてはホテルのレストランスタッフで1年半くらいやっていたのですが、毎日ルーチンワークの上に「お金を稼ぐ」ということだけが目的になっていたため、最低のモチベーションで働いていました。
それこそ、やってもやらなくても同じ時給だから自分の限界のパフォーマンスを目指そうなんて気持ちは一切なく、怒られない程度のパフォーマンスでやり過ごそう的な。笑
そして、現在はWeb系のエンジニアとして働いています。
個人的にはこれが、自分的にはかなり正解の道を選んだと確信しています。
働くメンバーも同世代が多く楽しめるし、他の人たちに負けないよう勉強しようと言う気持ちにもなるし、やっている作業(プログラミング)自体も楽しい。
そして、今までなかった経験なのですが、会社のビジョンに共感して働くという状態になっています。
このビジョンへの共感こそ、目的という部分にあたります。
会社のビジョンが自分が達成したいと思う目的になっているので、不思議とやる気が持続するわけです。
はっきりいって、給料は新卒で勤めていた時よりも圧倒的に下がっているのですが、モチベーションはむしろ上がっているという自信の経験から、このモチベーション3.0に書かれていることは、かなり正確に人間の心理を描写しているんだという気がしています。
本の中ではこれらの3つの内容について、より深い考察や、再現するための手法などが事細かに記述されています。
気になる方はぜひ手に取ってみるといいでしょう。
知識だけじゃなく行動の手引きもしてくれる親切さ
ビジネス書って、最後に本の内容を実践するためのパートがおまけについていることが結構あると思うんです。例えばチェックリストがあったり、1日ずつこれを実践して行こう的なやつとか。でもだいたいはおまけ程度ですよね?
しかし、本書はそのツールが全ページの3分の1を占めています。笑
そのツールは今までの内容の復習からアウトプットするための手引き、自分の環境で実践するための手引きなどなど。
これを自分の環境に当てはめて考えてみるだけでも、恐ろしいくらいの復習になり、かなり身になる内容になっていました。
本の感想を書く時に、ほとんど読み返すことなく、このボリュームのアウトプットができたのは初めてかもしれないというくらいの定着具合。
モチベーション2.0に基づいた手法は、仕事内容と報酬の与え方を工夫することで大きな効果を出すこともできるのですが、もし、自分や自分が所属している環境とそのモチベーションに関する管理手法で違和感を感じることがあるようであれば、このモチベーション3.0はたくさんの良いアイディアと出会うことができると思うので、激おすすめです!
僕的には今まで読んだ本で有益だったよランキングTOP3には入ってきました。
以上、いっとくでした
おしまい!
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