どうも、いっとくです!
きっとみなさんの中には、何かしらの動画のサブスクリプションサービスに入っているという人がかなりの割合でいるのではないでしょうか?
そんなサービスの大本命であるNETFLIX。
もとはDVD宅配レンタル事業を柱にしていたNETFLIXが動画の定額配信サービスへと大変革を遂げ、アメリカのインターネットトラフィックの3分の1を占めるようになるまで成長した背後にある、組織づくりと人事の戦略について書かれた本がこちら。
NETFLIXの創業期から人事の責任者として、その文化と制度を作り上げた著者による組織づくりの物語です。
もうこれはビジネス書というか物語でしたね。感情移入しまくったような気がする。
ということでまずは本書の感想から。
…めちゃくちゃ面白い!
今まで読んだ本の中でもトップクラスに面白かったし、組織づくりとかを考えるリーダー的なポジションの人であればぜひ一度は読んでおいたほうがいいと思える本でした。
読みながらマーカーつけすぎてKindleのマイノートが大変なことになりました。
NETFLIXのサービス自体はもちろん知っていたのですが、じゃあどんな雰囲気の会社で何がすごいのかってところは全く知らないまま読んでいましたが、こんな刺激的な会社だったとは…!という感じです。
とにかく働いている人のモチベーションが高くなるように設計されたシステムを作り上げていることがわかります。
多くの組織は大きくなるにつれて、全体を統制するためにいろいろな制度や方針を設けるけども、それがチームからイノベーションを起こす能力や機動力を失わせています。
そこにあらがって徹底的に働きたくなる組織を作りあげてきた過程を伺うことが出来ます。
学びになる項目が多くてまとめきるのが難しいので、抜粋的な内容にはなるのですが、個人的に響いた箇所をピックアップして紹介していこうと思います。
大事なのは人材濃度
本書の冒頭で、この本がどんな本なのかという説明があります。
事業環境の急激な変化に柔軟に対応できる、ハイパフォーマンス文化を育むための方法を、あらゆるレベルのチームリーダー向けに説明する本である。
NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く 位置No.87
このような組織を作るために一貫しているなぁと思ったのはとにかく人材の濃度を高めるということに注力しているということです。
人材の濃度というのは要はやる気があって、組織を愛していて、ハイレベルの成果を出す人材の比率を極限まで高めていくということ。
そのためにいろいろな角度からのアプローチがあるわけですが、個人的にすごく印象的だったのは率直に言い合う人間関係と円満な解雇です。
ちょっとどちらも日本の文化からすると異質なところだったというのもあると思うのですが、それゆえに自分の仕事の仕方や普段の振る舞いを省みる機会になります。
率直に言い合う
例えば成果を上げていない人にはちゃんと成果が上がっていないこと+何を期待しているかを伝えてあげないといけないというところや、ちゃんと面と向かって批判をする事が成果を上げる組織づくりには必要不可欠です。
原理としてはシンプルで、人間は基本的に組織で貢献することに喜びを感じるので、その成果を上げるために必要なことだからです。
仕事をしていると他の人のやり方が気になったものの言いにくいからぼやっと伝えることがあると思いますが、それで伝わりきらなくてうまく事が進まないことって結構ある気がするんですよね。
だからこそ率直に話し合って、何が一番成果が出るのかを突き詰めないといけないわけです。
ちなみに本書では率直に伝える際のコツについても言及されているのですが、ポイントは感情を見せずにただ成果を追い求める人として発言するということです。
これは確かにという感じですが、感情丸出しの人の言葉は反発的な感情を引き起こす可能性がありますが、ただ成果を追い求めるための行動だとしたら納得いきそうな気もします。
以前読んだ元マッキンゼーの伊賀さんの「採用基準」という本でもありましたが、リーダーシップは成果主義と密接に関わっていて、とにかく全員が成果を出すために行動すれば意見のズレが軋轢を生むことはないという理論に近しいものを感じました。
円満な解雇
解雇というとちょっとネガティブな響きに聞こえますね。というか日本だと法律的にアウトですよね。
ただ本書でいう解雇は能力がないから切り捨てるという考えに基づいたものではありません。
どちらかと言うと、会社や組織で求められる能力というのはどんどん変わっていきます。
そしてその求められるものと持っているスキルに差が生じてきた時、どうしても成果があがらなくなります。
そんなときにずっと組織に居続けたとしても、組織にとっても本人にとっても幸せな状態とは言えないので、もっと輝ける場所を見つけましょうという考えに則っています。
なぜなら成果が上がらないのは能力の問題ではなく適正の問題だからです。
であれば会社内でそのポジションを探せばいいじゃないかという風に思えるかもしれませんが、NETFLIXは一つの事業を柱にしている会社なので、組織内の別部署で輝く場所を探すとなると簡単ではありません。
なのでその事実を率直に伝えた上で、他の会社に行って活躍することを勧める、というような解雇がここでいう円満な解雇です。
衝撃的だったのは創業から携わってきた著者自身もこういったルールで解雇されているという事実。
本人的にも解雇に関してはダメージを食らっているようなのですが、それでも本書の前編を通して、NETFLIXという組織への愛着がにじみ出ており、それだけ組織を愛する人がたくさんいる環境を作り上げてるのか〜ということを感じさせます。
解雇と聞くとやはり冷たい感じがしますが、ここでの解雇は本当の意味で次のステージのための卒業という印象の方が強いですね。
退職のことを卒業という会社は割と多い気がしますが、NETFLIXでは能力が高い人も解雇されていることを考えると、解雇という言葉を使っていてもより「卒業」のニュアンスが強いように思いました。
従業員のモチベーションをあげるのは制度ではない
こうやっていろいろな施策で人材濃度を高めることが、従業員にとっての幸福感を上げることにつながっていきます。
企業では社員のモチベーションを上げるために、従業員エンゲージメントを上げるという名目で、福利厚生やイベント、その他のインセンティブなど様々な施策を講じるわけですが、こんなもので従業員のモチベーションが上がるわけではない。
本当にモチベーションを上げるのに必要なことは「信頼できる同僚と力を合わせて課題を乗り越えて、組織に貢献していくこと」なのです。
だからこそ人材濃度を上げる必要があり、そうすることで創業者リードヘイスティングの考える最高の会社になるというわけです。
「もしそれをやったとして、最高の会社ができたかどうかを、どうやって判断するの?」
「そうだな、この会社の問題をこの会社の同僚と解決したいと思いながら、毎日会社に来たくなる」と彼は答えた。
NETFLIXの最強人事戦略 位置No.284
はい、ということで久しぶりにすごく長い本の感想を書いたのですが、それくらい面白かったということです!
モチベーションを高い組織を作るためにどうしたら良いのかということを考えるにあたって、示唆に富んだ内容がガッツリ盛り込まれているので、リーダーとして組織づくりをする立場にある人にとってはすごく良い本かと思います!
以上、いっとくでした!
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